INTRODUCTION

1.はじめに

「コントラバスってどんな楽器?」
そう聞かれたら、私はいつもこう答えます。

「なんか、バイオリンのおっきい版みたいなやつ」

これでだいたい伝わります。みんな、「あぁ〜!」って納得するんです。 もう少していねいにご説明しますと、コントラバスは、バイオリンのような弦楽器の中で一番大きくて、一番低い音が出る楽器です。 弦バスとか、ダブルベースなんて呼ばれることもよくあります。 全長は1.7mから2mくらいあって、人の身長と同じか少し大きめです。 弓で弦をこする、もしくは指で弦を弾いて音を出します。 オーケストラ、吹奏楽、ジャズなど、いろんなジャンルの音楽で用いられており、木製楽器特有の柔らかい音色と、弦楽器ならではの滑らかなロングトーン、さらに低音楽器のどっしりとした安定感を持ち合わせた楽器なのです。

2.出会い

私がコントラバスに出会ったのは、中学生のときでした。吹奏楽に興味があった私は、部活体験に行きました。はじめて見る、はじめて触る楽器だらけの世界。楽器を吹く先輩たちの姿はとてもかっこよく見えました。そのなかで一際輝いて見えたのが、コントラバスだったのです。大きくて目立つビジュアル、曲線が多くヒョウタンのような可愛らしいフォルム、そして、奏者が1人しかいない特別感! 入部を決めてすぐ、希望楽器アンケートの第一希望に「コントラバス」と書きました。楽器を決めるのは顧問の先生なので、希望は通りにくいと先輩から聞いていましたが、私はそのまますんなりコントラバス奏者になりました。 周りの友人と違って、私がサックスとかトランペットとかの人気楽器をまったく書かなかったからでしょう。コントラバスは、倍率が低すぎた(=あまり人気がなかった)のです。これが、私とコントラバスとの出会いでした。

3.吹奏楽での役割

コントラバスは管楽器と違って、弦を擦れば音が出るので肺活量は必要ありません。他の部員が顧問に、「腹式呼吸をしろ!」とか「腹筋をしろ!」とか言われていても、私には関係ないのです(^^)(本当は、管楽器との音色や表現を合わせるために、理解しておくべき大事なことです。でも、当時の私は腹筋とか筋トレが苦手だったので、ラッキー!と思っていました・・・笑) その代わり、弦がかなり太いので、弦をしっかり抑えるための指の力は必要です。指の腹の皮は、硬く強くたくましくなりました。あと、合奏中もほとんど立ちっぱなしだったり、弦楽器には弦楽器の大変さもあります。 奏でる音色も管楽器と違います。オーケストラ用につくられた譜面を、吹奏楽でアレンジするような楽曲では、管楽器には出せないような音のニュアンスを、コントラバスが代わりに表現することができます。 ソロで目立つことはゼロですし、音量では管楽器に負けてしまって、チューバにかき消されてしまうことも多いです。でも、コントラバスでしか表現できない音の色が曲のスパイスとなって、吹奏楽の演奏を素敵なものにします。聞こえるか聞こえないかくらいでさりげなく添えられる、コントラバスの伴奏やリズムが私は好きでした。

4.ジャズでの役割

高校は別の部活動に所属し、大学でまたコントラバスと再会しました。 でも私が入ったのは、吹奏楽部ではなく、ジャズサークルです。もともと飽き性な性格なので、新しいことを始めるのが好きなんです。 でも、コントラバスが好きな気持ちは変わらなかったので、違うジャンルの音楽に挑戦しようと思ったのがきっかけです。 あと、漫画「坂道アポロン」に影響を受けました。これを読んで「ジャズ、めっちゃかっこいいやん!」となり、大学に入学してすぐジャズサークルの見学に行ったわけであります。
●【青春映画の原作】漫画「坂道のアポロン」に感動する!!|お前は笑うな。

ジャズは吹奏楽と違って少数で演奏するので、コントラバスの音がよく聞こえるのがとっても嬉しかったです。 ジャズでは主に弦をはじく演奏法(ピッチカート)が主流です。演奏に安定感や深みを出すのに欠かせない音になります。 大学時代、バイト代を貯めて中古のコントラバスを購入しました。中学の時もボロボロのコントラバスを使っていたので、中古でも抵抗はあまりありませんでした。 自分の楽器ということ、演奏で自分の音が目立つということから、どちらかというと吹奏楽よりもジャズでコントラバスを弾いていたときの方が楽しかったように感じます。 どちらにしてもコントラバスは縁の下の力持ちとして音楽に欠かせない存在なのです。

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